
FXのチャート分析を学んでいると、必ずと言っていいほど登場するのが「ダブルトップ」というチャートパターンです。
トレンドの転換を示す非常に強力なサインとして知られていますが、多くの初心者が「使い方がよく分からない」「だましにあって損をしてしまった…」と悩んでしまうポイントでもあります。
しかし、ご安心ください。 この記事では、ダブルトップの基本から、プロも実践する応用テクニック、そして「だまし」を回避するコツまで、余すところなく徹底解説します。
最後まで読めば、あなたはダブルトップを自信を持って使いこなし、トレードの精度を一段階レベルアップさせることができるでしょう。
FX初心者が最初に覚えるべき「ダブルトップ」の基本
博士〜!チャートを見ていたら、アルファベットの「M」みたいな形を見つけました!これって何か意味があるの?


おぉ、良いところに気づいたのう。それこそが、今回学ぶ「ダブルトップ」じゃ。FXトレーダーにとっては、宝の地図のようなものなんじゃぞ。
ダブルトップとは?「M」の形で天井を示すチャートパターン
ダブルトップとは、その名の通り「2つの天井(トップ)」を形成するチャートパターンのことです。上の図のように、アルファベットの「M」の形に見えるのが特徴で、長く続いた上昇トレンドが終わり、これから下降トレンドに転換する可能性が高いことを示唆します。

【ダブルトップを構成する要素】
- 左側の山(1番天井):1回目の高値挑戦。
- 谷(ネックライン):1回目の高値から一度反落してできた安値。
- 右側の山(2番天井):再び上昇したが、1回目の高値付近で上昇を止められたポイント。
この形が出現したら、「そろそろ上昇の勢いがなくなってきたな…」と警戒を始めるトレーダーが増え始めます。
なぜダブルトップは下落のサインとして機能するのか?
では、なぜ「M」の形ができると相場は下落しやすいのでしょうか?それは、チャートの向こう側にいる大勢のトレーダーたちの心理が関係しています。

【ダブルトップ形成時の投資家心理】
- 【1番天井】:順調に上昇してきた相場が、一旦の利益確定売りなどで反落する。「まだ上がるだろう」と楽観的なムード。
- 【谷】:「押し目買い」のチャンスと見たトレーダーたちが買い始め、再び価格が上昇する。
- 【2番天井】:しかし、1番天井の価格を超えられない。「あれ?思ったより上値が重いぞ…」と不安を感じるトレーダーが出始める。
- 【ネックライン割れ】:谷(ネックライン)を価格が下に突き抜けた瞬間、「もう上昇は終わりだ!」と判断した買い方トレーダーの損切り(売り注文)と、新規の売り注文が殺到。これにより、強い下落が発生する。
このように、ダブルトップは市場参加者の楽観が不安へ、そして諦めへと変わっていく過程を可視化した、非常に合理的なパターンなのです。
ダブルトップを使った基本的なトレード手法
ここからは、実際にダブルトップをトレードでどう使うのか、具体的な手順を見ていきましょう。
STEP1:トレンドの天井圏で「ダブルトップ」を見つける
まず大前提として、ダブルトップは十分な上昇トレンドが続いた後に出現してこそ、その効果を発揮します。方向感のないレンジ相場の途中で出た小さな「M」の形は、ダブルトップとして機能しにくいので注意しましょう。
STEP2:下落の生命線「ネックライン」を正確に引く
ダブルトップを見つけたら、次に最も重要な**「ネックライン」**を引きます。これは、1番天井と2番天井の間にある「谷」の安値に引く水平線のことです。このラインが、買い方と売り方の攻防の最終防衛ラインとなります。
STEP3:エントリーポイントは「ネックラインブレイク」
トレードの基本は**「売り(ショート)」**です。 そして、最も基本的なエントリーポイントは、価格がネックラインを明確に下にブレイク(突き抜け)した瞬間です。

最終防衛ラインであるネックラインが破られたということは、買い方の降参を意味するからのう。そこから一気に下落が加速しやすいんじゃ。ただし、焦って飛び乗るのは禁物じゃぞ!
STEP4:損切りと利確目標の目安を設定する
エントリーと同時に、必ず「損切り」と「利確」の計画を立てましょう。
- 損切りポイントの目安 もしネックラインを割った後に価格が反転して上昇してしまった場合に、損失を限定するための注文です。一般的には、2番天井(右側の山)の少し上に置きます。ここを上に超えていくようであれば、ダブルトップが否定されたと判断できるからです。
- 利確目標の目安 利益を確定させる目標です。基本的な考え方は、山の頂点からネックラインまでの値幅と、同じ分だけ下落したポイントを目安にします。

FXトレードの勝率を格段に上げる!ダブルトップの応用テクニック
基本を覚えたら、次は勝率をさらに上げるための応用テクニックです。プロはこうした視点を加えて、より精度の高いトレードを行っています。
上位足の環境認識を組み合わせる
例えば、日足や4時間足といった大きな時間足で下降トレンドが発生しているとします。その中で、1時間足や15分足といった小さな時間足が一時的に上昇し、ダブルトップを形成した場合、これは大きな流れに沿った絶好の売り場となり、成功率が格段に上がります。
オシレーターの「ダイバージェンス」で天井を予測する
RSIやMACDといった「オシレーター系」のインジケーターを組み合わせるのも非常に有効です。 特に注目したいのが「ダイバージェンス」という現象。これは、価格は高値を更新している(右肩上がり)のに、オシレーターの山は切り下がっている(右肩下がり)という逆行現象です。 これは「上昇の勢いが内部で弱まっていますよ」というサインであり、ダブルトップが出現する前に天井を予測する強力な武器になります。
右肩下がりのダブルトップは信頼度が高い
2番天井が1番天井の価格まで届かず、少し低い位置で反落する「右肩下がり」のダブルトップは、より信頼度の高い下落サインとされています。これは、買い方の力が1回目よりも明らかに弱まっていることを示しているからです。
「だまし」はもう怖くない!ダブルトップの失敗を減らすコツ
博士、前にネックラインを割ったと思って売ったら、すぐ価格が戻ってきて損切りに…。これが「だまし」なの?


む、それこそが典型的な「だまし」じゃな。多くの初心者がここで資金を失ってしまう。しかし、だましを回避するコツもしっかりあるんじゃぞ。
コツ①:ネックラインブレイク後の「戻り」を待つ
最も有効な「だまし」回避策は、焦ってエントリーしないことです。 ネックラインを下にブレイクした後、すぐには売らず、価格が再びネックライン付近まで戻ってくるのを待ちます。そこで反発して再度下落するのを確認してからエントリーするのです。 これを**「戻り売り」**と言い、一度サポートだったネックラインがレジスタンスとして機能することを確認できるため、非常に勝率の高い手法です。

コツ②:出来高を確認する
もし取引しているFX会社で出来高が見れるなら、チェックしてみましょう。一般的に、2番目の山の出来高が1番目より少ない場合、市場の関心が薄れ、上昇の勢いが弱まっている証拠となり、ダブルトップの信頼性が高まります。
コツ③:焦って「M」の完成前にエントリーしない
「たぶん、ここが2番天井になってダブルトップになるだろう」といった、**希望的観測でのフライングエントリーは絶対にやめましょう。**チャートパターンは、ネックラインを割るなど、明確なシグナルが出て初めて完成します。常に「答え合わせ」をしてからエントリーする癖をつけましょう。
まとめ:ダブルトップを制する者はFXの天井を制する
今回は、FXの超重要チャートパターン「ダブルトップ」について、基礎から応用まで詳しく解説しました。
【今回の重要ポイント】
- ダブルトップは上昇トレンドの終焉を示す**「M」の形**。
- 基本のエントリーは**「ネックラインブレイク」**をしっかり確認してから。
- 勝率を上げるには**「環境認識」と「オシレーター」**の組み合わせが有効。
- **「戻り売り」**を意識することで、焦りをなくし「だまし」を回避できる。
ダブルトップは、相場の天井を捉え、大きな利益に繋がる可能性を秘めた強力な武器です。しかし、どんな武器も練習なしでは使いこなせません。
まずは、お使いのチャートソフトで過去のチャートを遡り、「ダブルトップ」と、その後の値動きを探す練習をしてみてください。何度も見ているうちに、自然と「勝ちやすいダブルトップ」の形が見分けられるようになってきますよ。