FXでは、国ごとの「経済の健康状態」を表すさまざまな経済指標が為替に大きな影響を与えます。
特に米国の指標は世界中のトレーダーが注目しており、発表のタイミングで相場が大きく動くことも。
ここでは代表的な経済指標について、初心者にもわかりやすく解説します。
雇用統計(米国)
雇用統計とは?
「米国雇用統計」は、アメリカの働いている人の数や失業者の数をまとめたデータです。
毎月第1金曜日に発表され、為替相場への影響が非常に大きいことで知られています。
発表日: 毎月第1金曜日
時間: 21:30(夏時間)/22:30(冬時間)
内容: 米国の雇用状況を示す。最重要指標の一つ。為替が大きく動く。
注目されるポイント
- 非農業部門雇用者数(NFP):1か月間に何人の雇用が増えたか
- 失業率:働きたくても職に就けない人の割合
- 平均時給:給料の伸びをチェック。インフレとの関係も深い
なぜFXに影響するの?
雇用の増加は「景気がいい=金利が上がる可能性あり」と見なされ、**ドル高(USDが買われる)**になりやすいです。
逆に雇用が悪化すれば、ドル安になる可能性があります。
GDP(国内総生産)
GDPとは?
GDP(Gross Domestic Product)は、国内で生産されたモノやサービスの合計金額のこと。
つまり、その国の経済規模や成長率を示す指標です。
発表日: 四半期ごと
時間: 国によって異なる(米国の場合 21:30〜22:30 頃)
内容: 経済成長率を示す。好調なら通貨高要因。
どんな風に見ればいい?
- 前年比や前期比で比較して「成長しているかどうか」を判断
- 数字が予想より良ければ「景気がいい」とされて通貨高になりやすい
FXでの影響
たとえば、アメリカのGDPが予想以上に伸びていれば「米ドルが買われる」傾向があります。
インフレ率(CPI)
CPIとは?
CPI(消費者物価指数)は、スーパーやお店で売っているモノやサービスの価格変動を測る指標です。
インフレ(物価上昇)やデフレ(物価下落)の状況を知ることができます。
発表日: 毎月中旬ごろ
時間: 米国の場合 21:30(夏時間)/22:30(冬時間)
内容: 物価の上昇率(インフレ)を示す。利上げ・利下げの判断材料。
なぜ重要?
中央銀行(アメリカならFRB)は、**インフレが高すぎると金利を上げる(引き締め)**ことで抑えようとします。
そのため、CPIが高いと「金利が上がるかも=通貨が買われる」動きが起きます。
CPIがなぜFXに影響するの?
CPI(Consumer Price Index:消費者物価指数)は、物価の上昇率=インフレの指標です。
インフレが高いと、中央銀行(FRBなど)は金利を上げてインフレを抑えようとする傾向があります。
- CPIが 上昇 → 金利引き上げの可能性 → ドルが買われる(ドル高)
- CPIが 低下 → 金利据え置きや引き下げの可能性 → ドルが売られる(ドル安)
つまり、CPIは利上げ・利下げの判断材料として極めて重要なので、FXにも直結します。
小売売上高
小売売上高とは?
「小売売上高」は、アメリカ国内の小売業における商品の売上額をまとめた指標です。
消費の勢いを測るもので、米国経済の約7割を占める個人消費の動向を知るうえで非常に重要です。
- 発表日: 毎月中旬(前月分)
- 時間: 21:30(夏時間)/22:30(冬時間)
- 内容: 百貨店・スーパー・ネット通販などの売上高の合計。個人消費の強さを測る。
注目されるポイント
- 前月比・前年比の変化率
- 自動車を除いたコア小売売上高(変動が激しいため、より安定した傾向を見るため)
なぜFXに影響するの?
小売売上高が増えているということは、「人々がたくさんお金を使っている=景気が良い」と見なされます。
景気が良ければ、**利上げ(=金利上昇)**の可能性が高まり、ドルが買われる傾向に。
- 売上が好調 → 利上げ観測 → ドル高(USD上昇)
- 売上が不調 → 利下げ懸念 → ドル安(USD下落)
製造業PMI
製造業PMIとは?
「製造業PMI」は、購買担当者へのアンケートに基づき、製造業の活動水準を数値化した指標です。
特に米国のISM製造業PMIは市場への影響が大きく、注目されています。
- 発表日: 毎月第1営業日あたり
- 時間: 23:00(夏時間)/24:00(冬時間)
- 内容: 新規受注・雇用・生産などから景気の先行き感を示す
注目されるポイント
- PMI数値の50が分岐点
- 50以上 → 拡大
- 50未満 → 縮小
- 新規受注・雇用の項目が特に注目される
なぜFXに影響するの?
製造業の景気が良ければ、「企業活動が活発=景気が拡大傾向」と見なされ、金利上昇の期待につながります。
PMIが低い → 景気後退 → 利下げの懸念 → ドル安
PMIが高い → 景気拡大 → 利上げの期待 → ドル高
FOMC(米連邦公開市場委員会)
FOMCとは?
FOMC(Federal Open Market Committee)は、アメリカの中央銀行(FRB)が開く「金利を決める会議」です。
為替市場に大きな影響を与える、最重要イベントのひとつです。
- 発表日: 年8回(約6週間ごと)
- 時間: 早朝3:00(夏時間)/4:00(冬時間) ※声明発表
- 内容: 政策金利の決定、経済見通しの公表など
注目されるポイント
- 政策金利の変更(利上げ・利下げ)
- 声明文の内容(景気やインフレへの見解)
- パウエル議長の発言(会見は発表後30分)
なぜFXに影響するの?
金利が上がるとドル高、下がるとドル安になりやすいです。
また、発言内容によって将来の政策を予測するため、市場が大きく動く要因になります。
ADP雇用統計
ADP雇用統計とは?
ADP(Automatic Data Processing)社が発表する、民間雇用の増減を示すレポートです。
毎月第1金曜日「米国雇用統計(NFP)」の先行指標として注目されます。
- 発表日: 毎月第1水曜日ごろ
- 時間: 21:15(夏時間)/22:15(冬時間)
- 内容: 民間部門の雇用者数の増減
注目されるポイント
- 前月比の雇用増加人数
- 市場予想とのズレ(予想より多い/少ない)
なぜFXに影響するの?
本番の「米国雇用統計」のヒントになるため、予想との乖離によってドル円などが動くことがあります。
ただし影響は一時的なことも多いです。
まとめ:経済指標をチェックするクセをつけよう!
経済指標は、為替レートに直接影響する「ニュースの種」です。
とくに重要な発表(雇用統計やCPIなど)の直前・直後は、大きく相場が動くため、経済カレンダーをチェックしておくのが大切です。